リフレはやばい by 小幡 績。

Monday, April 1, 2013 - Posted by Knz  at 1:23 AM
http://www.d21.co.jp/products/isbn9784799312933

タイトルからして気になっていたが、金曜日、髪を切った後に紀伊国屋で購入。


ハーバードの経済学phDというのは日本人であまり聞いた事が無いので、興味を持ったが、何より世の中、日銀副総裁の本すらリフレは正しい、と言ってる中、真っ向から対するタイトルで論じているからなんじゃこりゃ、と。あと、会計士試験に組み入れられている経済学を学んだ時に、リフレなるのは学んだ記憶がなく、インフレ、デフレ、スタグフレーションくらいしかしらなんだ、リフレとは何ぞや?というところが一番大きい。


経歴はしっかりした人だが、文章は学者に有りがちな、結局何が言いたいのさ?とイラつくこともほとんどない、明快さ。


要は、リーマンショック前のような金融商品や不動産といった資産のバブルを引き起こすことに繋がる、インフレのための金融政策はための政策は正しくなく、バブルが弾けた後の実態経済へのマイナスインパクトが酷いだけ、という話。


インフレを引き起こすためにリフレを、というのは、金融立国なるイギリスならまだしも(とはいえ、リフレではなく、インフレターゲットを掲げて運営してるらしいので、イギリスですらリフレ論者ではない)、金融立国でない日本には当てはめられない。


円安が進み、国債価格が下がると、金融機関や機関投資家が日本国債を売り、米国債を買うため、円は売られ、ますます円安は進む。円安により輸入品は価格上昇し、調達価格を吸収せんと、企業のモノの売値は高くなり、インフレが起こる。また、円安になると日本国債のドルベースでの価格は下がり、日本国債はまた売られ、代替資産として米国債が買われる際にドル調達のため円が売られ、さらに円安…と連鎖していくと、日本国の国債を通じたファイナンスは不十分、不可能になり、日本国は破綻する、というのが最悪のシナリオ。


もちろんすぐに破綻はしないが、リフレ論者が、円安を声高にサポートしつづける事は上記のような国債価格の暴落を助長しかねず、また、インフレによる資産バブルにも繋がりかねず、非常に危険、ということ。


リフレを経済学の汎用テキストで採用しない理由がそうしたリスクの観点にあるのか、はたまた、国際的にはそうしたリスクが既知であり、ゆえにリフレ論がマスコミで取り沙汰れないゆえ、だろうか。


それにしても、為替、金利、インフレなど、最近殊に関心事である。

恐らく仕事上、為替差損益が気になるのと、あと、プライベートで住宅ローンを組んだ際に変動で組んだから、いざ、固定金利に切り替えなければ、というシチュエーションの前触れを捉えられるよう、可能な限り、経済とは?ということを知っておきたい、という気持ちが最近強い。


変動金利が上昇するトレンドの基礎条件を
ちゃんと把握しておけば、冷静にいられるかな、という思いでもある。



株やファンドや外貨預金もそうだが、自分の財務面をリスクにさらす事が何より真剣に経済を学ぶ事に繋がるように思う。リスクを過度に嫌い過ぎない方が、経済については理解が深まりそうだ。



なお、リフレがやばいならどうするのさ?というと、人的資本の蓄積につながる、雇用拡大とそれによる所得増大、消費拡大により、購買力が高まり、企業はモノも高く売れ、結果としてインフレ率が2%未満というのが、実態経済寄りの国家経済運営としてベスト、とのこと。


人的資本蓄積につながる雇用拡大、というのが高専増加による企業にとってのエンプロイヤビリティの向上、という事だが、個人的にはそれだけでは大局観をもった判断力を持ったリーダー層は育つのか、という懸念は持った。飽くまでリーダー層の適性水準の確保があった上で、実務志向の高専卒者を増やす、また、産業勢力図が変遷していく中で、北欧諸国のようなセーフティネットとして若年層用だけではない高専の拡大により、成長分野へのスキル獲得を国として支援する、という方が、長寿社会には適合する、安心感をもって適切な量の消費が望めるのではないか、と思う。やはり将来の経済的不安を如何に低減するか、というのが、根本的課題解決への処方箋に繋がるのだろう。



regards,


kenji